焼き物の町として知られる萩市にある県立 萩美術館・浦上記念館にて、またまた興味深い特別展がスタート!
8月28日(日)まで開催中の【未来へつなぐ陶芸-伝統工芸のチカラ展】と称された特別展のご案内をしてくださったのは陶芸作品について深~い専門知識をお持ちの学芸員でいらっしゃる市来真澄さん♪
伝統工芸=古い歴史というワードイメージが最初に思い浮かんだ私でしたが…今回、一堂に会している陶芸作品139作品の中には現在現役でご活躍されている作家さんが手掛けられたモダンなデザインの前衛的な作品も並んでいましたよ。
伝統工芸と一口で言っても織物や染物に和紙や木工作品と、日本が誇る伝統工芸品には様々な種類がありますが…日本には日本工芸部会という重要無形文化財保持者の方(人間国宝というと分かりやすいでしょうか(#^▽^#))を中心として各分野の伝統工芸作家、技術者の方が所属している組織があるのだそうです。その中でも陶芸の発展に力を尽くされている日本工芸会陶芸部会が2022年をもって結成から50周年を迎えられた(おめでたい!)ことを記念して、この夏!萩美術館・浦上記念館を舞台に、137名の陶芸作家さんが提供された139作品の展示を通し、これまでの陶芸のあゆみを辿りながら未来へと陶芸界の歴史や作陶への熱意のバトンを繋いでいく貴重な特別展を開催する運びとなったのだとか。
伝統や威厳や基本的な手法を受け継ぎながらも、時代に合わせた色使いや素材選びなど…未来を担う若手作家の方のキラリと輝く個性が落とし込まれた作品の披露の場にもなっています。(部会に所属されていない作家さんの作品も展示されていますよ!)
萩焼の第一人者といえば三輪休雪の話題は欠かせませんが…今回「鑑賞にあたって特にオススメの作品は?」と市来さんにお訊ねしたところ、やはり第11代・三輪休雪として名高い三輪壽雪先生が作陶された≪白萩手桶花入≫という花器を挙げてくださいました。
白色と濃い茶色の2色のコントラストに侘寂が感じられる大変美しい作品。(画像は萩美術館HPにリンクされているやまぐちバーチャルアートミュージアムから拝借)
こちらの雪のように真っ白な釉薬は壽雪先生と、そのお兄さんでいらっしゃる三輪休和氏が生み出されたもので「休雪白」と名付けられています。花器全体を覆う、降り積もった雪の下に見え隠れする大地のような茶色の部分は萩沖北にある三島に由来する三島土を活用してあります。萩焼で伝統的に使われてきた素材を上手く活かしながら生み出された作品は、伝統と新しさが見事にマッチしていて作者のセンスの良さを感じますね、とは市来さん談。
続いては薄~いスカイブルーが涼やかな印象を抱かせてくれる≪淡青釉鉢≫。作者は萩で現役作家としてご活動中の岡田泰さん。(画像は萩美術館HP未来へつなぐ陶芸-伝統工芸のチカラ展の企画展特設ページから拝借)
特徴はこれまでの萩焼史のには見当たらなかった淡い青色使い。岡田さんは「萩の海の色を表現したい」という思いで長年の模索を追及を経て淡青釉を使うことによって、この澄み渡った青色に到達されたのですね。この特別な青色は伝統の白萩釉に色を付けて作られています。私達が目にする機会が多い伝統的な萩焼は透明、または半透明の釉薬が使用されていることが殆どの為、こういった“色のある”釉薬は新しい表現方法なのですね。
伝統的な素材や手法を基本として大切に守りながら作者ひとりひとりの感性を落とし込み、現代人の感覚や流行に合う作品づくりが脈々と続けられているコトこそが伝統工芸。
伝統と新しい技が自由に合わさったハイブリッドな一品が日々生み出されているのか~…(●´ω`●)正に伝統とは歴史の積み重ねのように思えます。
市来さんがお話してくださったような丁寧な作品解説はキャプションからも知ることができますので、鑑賞の際は是非じっくり目を通してみてください!(今回はほぼ全ての作品の写真撮影もOKですよ^^ )
この機会に更にディープな伝統工芸の世界を覗いてみたいな~という方に嬉しいイベントも開催予定ですよ。
会期中の毎週日曜日 午前11時から、陶芸家の方をお招きしてアーティストトークを実施!定員はいずれも先着順20名なので、ご希望の方は萩美術館・浦上記念館のHPからお申込みください。お電話の方は0838‐24‐2400まで☆
今回、展示総数は137名の作家による作品139点と盛り沢山ですが…同じモノは一つとして存在しません。世界に一つの作品をゆっくりと観覧しながら伝統工芸の趣を味わってみてください。
また、リポートをお届けした日のハピふラにゲスト登場された大人気スポーツイラストレーター・りおたさんのトークイベントもアートフェスティバル2022の一環として8月7日(日)に同じく萩美術館・浦上記念館にて開催されますので、コチラも要チェックですね★
7月2日(土)~8月28日(日)
山口県立 萩美術館・浦上記念館 0838-24-2400
観覧料 大人 ¥1500/学生 ¥1300/70歳以上の方 ¥1200 ※18歳以下無料